現在位置: ホーム 研究活動 5つの戦略課題 第2部会:次世代先端デバイス科学 重点課題1:密度汎関数法によるナノ構造の電子機能予測に関する研究

重点課題1:密度汎関数法によるナノ構造の電子機能予測に関する研究

作者: admin — 最終変更 2013年10月03日 00時52分

[担当者]  東京大・押山淳、筑波大:岩田潤一、兵庫県立大:重田育照、 フランス・ルイパスツール大:Boero Mauro、物質・材料研究機構:宮崎剛、 英国ロンドン大:Bowler David、東京大:渡邉聡、大阪大:小野倫也、赤井久純

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[課題内容・背景・重要性] 半導体テクノロジーはポストスケーリング時代を迎え、ナノドット、ナノワイヤーなどの構造体が次世代デバイスの不可欠な要素となっている。それらナノ構造体の構造的安定性と電子機能についての高精度の予測を行う。これは計算科学に課せられた喫緊の課題である。また次世代デバイスは、ナノスケールの異種界面系とも捉えられ、そこでの構造的安定性と電子状態への影響を解明することも不可欠となっている。さらには電子、熱、原子の輸送特性の解明は次世代デバイス設計に欠かせない。

fig2-2.png[計算手法] 超並列アーキテクチャ計算機に最適な実空間密度汎関数法[RSDFT](次世代スパコン・ターゲット・アプリの手法のひとつ)、密度行列最適化法に基づくオーダーN法[CONQUEST]等を手法の中心にすえ、次世代機でのペタフロップス級実効性能を達成する。時間依存密度汎関数法、非平衡グリーン関数法、Car-Parrinello分子動力学法、オーダーN遮蔽グリーン関数法等により系のダイナミクスと輸送現象を予測する。

[次世代スパコンの必要性・実現可能性] RSDFTは、筑波大、理研、東大の共同で、高度化が順調に進んでいる。実空間並列化に加えて軌道並列化も終了し、マルチコア・アーキテクチャに対応したMPI + OpenMP並列の最適化が行われている。実際1000CPUを用いた15000原子計算が高効率で実行されている。CONQUESTは、すでにMPIフラット並列による高度化は終了しており、地球シミュレータからPCクラスタまでの、様々なプラットフォーム上でのパフォーマンスは実証されている。輸送計算手法は標準的な並列計算が可能であるが、超並列アーキテクチャにおける先端的並列化が必要である。

[具体的な成果目標] 数万から数十万原子群から構成される10nmスケールのナノ構造体に対する、密度汎関数理論による第一原理計算を、次世代スパコンで実行可能にする高速計算技法を確立し、それによりナノ構造体の原子・電子構造とデバイス特性、さらには構造体生成の機構を明らかにする。さらに輸送現象、過渡現象を扱うシミュレーション技法を確立し、ナノ接合系での電子、熱、原子の輸送特性を明らかにし、次々世代デバイスシミュレータ技術の基盤を構築する。