現在位置: ホーム 研究活動 5つの戦略課題 第3部会:分子機能と物質変換 サブ課題4:機能性分子設計-光機能分子と非線形外場応答分子の光物性

サブ課題4:機能性分子設計-光機能分子と非線形外場応答分子の光物性

作者: admin — 最終変更 2013年10月03日 01時07分

[担当者] 分子研:江原正博、大阪大:中野雅由、産総研:太田浩二、慶應大:藪下聡、大阪府大:小関史朗

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[課題内容・背景・重要性]  光機能性分子では、分子の光学的性質とともに分子集合体における励起ダイナミクスが重要であり、優れた機能創出にはナノスケールの現象の理解とそれに基づく分子設計が必須である。光機能材料の開発は、これまで実験的なスクリーニングや工学的技術に基づいていたが、これまでにない機能分子の開拓には、より論理的な手法が不可欠である。本課題では光機能を示す有機ELやバイオセンサー、非線型光学分子の光電子過程を明らかにし、分子設計の指針を示すことによって、技術革新を行うことを目的とする。これらの光機能では、分子の励起状態の性質が重要であり、励起緩和、電子移動、エネルギー移動なども検討する必要がある。第1部会の研究課題との連携を行い、電子状態理論と動力学理論に基づく技術革新を実現する。新たな技術革新を達成し、それらを応用することによって、産業や社会への貢献を目指す。

fig3-9.png[研究手法] 大規模系の励起状態を扱う電子状態理論により、分子集積系や蛋白質の理論計算を実施する。有機ELやバイオセンサーに応用し、発光メカニズムや励起緩和、電子・ホール輸送等をナノスケールレベルで解明し、新規な分子素子の理論設計を行う。さらに励起移動の理論等により、光機能分子集積系の励起移動を研究する。また、非線形光学物質の研究では、独自の密度汎関数法と量子マスター方程式を結合した方法等を適用し、大規模開殻系共役分子やメゾスコピックサイズの分子集合体における分子構造、集合体構造、スピン状態、荷電状態による非線形光学応答特性を明らかにし、全く新しい開殻分子系からなる高機能非線形光学物質を理論設計する。本研究の遂行には、分子科学分野の研究者の連携が不可欠で、上記担当者のほか、豊橋技科大・関野秀男、上智大学・南部伸孝らが本課題に協力する。

[次世代スパコンの必要性・実現可能性] 中核アプリFMO/MP2は超並列に対応しており、励起状態の電子状態計算も積分計算・対角化ともに高並列計算は可能である。量子マスター方程式の各量子トラジェクトリーは完全に独立であり、大規模自由度の超並列計算が可能である。

[具体的な成果目標] 有機EL、バイオセンサー、非線形光学材料分子の基底状態、励起状態の構造と電子配置、状態間遷移を電子レベルで解明する。電子状態と動力学理論に基づくスクリーニングによって、有機ELやバイオセンサー等の発光性能評価と理論設計を行う。また、ビラジカルの性質をもつ大規模分子の光学応答特性を明らかにし、新規高機能非線形光学物質を理論設計する。