現在位置: ホーム 研究活動 5つの戦略課題 第3部会:分子機能と物質変換 サブ課題3:ナノ・生体系の反応制御と化学反応ダイナミクス

サブ課題3:ナノ・生体系の反応制御と化学反応ダイナミクス

作者: admin — 最終変更 2013年10月03日 01時05分

[担当者] 早稲田大:中井浩巳、九州大:吉澤一成、分子研:永瀬茂、北大:武次徹也、 名古屋大:IRLE Stephan、大阪大:森川良忠

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[課題内容・背景・重要性] 化学反応の精密制御は化学者の長年の夢である。これまでに理論化学によって様々な化学反応が解明され、設計されてきたが、ナノスケール(ナノ・生体系)の反応系を精密に解析し、その制御を行うことは現在においても容易ではない。例えば、ナノ分子では大規模系の反応条件の最適制御が求められており、産業界でも有用な触媒反応では金属表面における反応制御が求められる。生体酵素反応は常温常圧で反応を高選択的に触媒する究極のグリーンケミストリーを実現するものであり、エネルギー問題や環境問題を解決するための糸口となる。さらに反応制御のためには反応の動的過程-反応ダイナミクスについても解明する必要がある。本課題では、次世代スパコンを使用し、現実的な反応モデルを化学的精度で取り扱い、反応経路の探索と反応制御、新しい化学反応を可能とする反応場設計の学術的基盤を確立する。さらにこれらの研究成果を産業と社会に還元することを目標とする。

[研究手法] 本研究では高精度な大規模系の電子状態理論が鍵となる。線形スケーリング電子状態理論、第一原理シミュレーション、量子-古典ハイブリッド法、分子シミュレーション、密度汎関数強結合法など最先端の理論を用いて、集積分子系、ナノ炭素分子材料、酵素反応、不均一系触媒などの電子構造と反応性について研究する。またこれらの化学反応ダイナミクスについても検討する。

[次世代スパコンの必要性・実現可能性] 付加機能ソフトとして開発を進めてきている高並列線形スケーリング法に基づいた分割統治量子化学計算プログラム[DC]により、すでに1000並列を超える並列化が達成されている。一方で、中核アプリであるFMO/MP2やmodylasは超並列計算が達成されており、量子-古典ハイブリッド法や密度汎関数強結合法も高並列計算の実行が可能である。

[具体的な成果目標] ナノスケールの分子や分子集合体などの巨大系の反応制御をプロトタイプ研究とし、様々な角度から検討する。例えば、種々のフラーレンやカーボンナノチューブの分子構造と電子構造を明らかにし、反応性や物性の知見を得る。さらにその生成プロセスを解明する。酵素反応や表面反応における反応の電子的メカニズムを明らかにする。